信じることはとても愚かで美しい。
さかのぼること、20分前。
「そうそう、私の名前は茉奈だよ!」
「あたしは莉乃ー。」
「うちは佳蓮やでー」
ムードメーカーの茉奈にギャルよりの莉乃。それに中学まで大阪に住んでたという佳蓮。
「よろしく。私のことは菜緒って呼んで!」
軽い自己紹介がすんだあと、菜緒が衝撃の一言を口にする。
「オッケー菜緒やな。…てか、言い忘れてたけど、ここら辺カラオケないから隣町まで行くねんけど良い?」
″隣町″
ドクンッと心臓が嫌な音を立てた。
あいつらのいる町。
「菜緒…大丈夫?」
急に黙り込んだのを不思議に思ったのか茉奈が聞いてきた。
「え?…あ、うん。大丈夫。」
大丈夫。
隣町に行くからってあいつらに会うわけじゃない。
不規則になる心に知らんふりをして、茉奈たちと隣町へ向かった。