俺様御曹司とナイショの社内恋愛
川本さんさー、彼は世間話でもするような口調でつづける。
「なんで今朝、俺を避けたの。で、掃除のおばさんと楽しそうにしゃべってたよね」


掃除のおばさん、じゃないですよ。そこは否定させてもらう。
「小宮山さんっていうんです。ちゃんと名札つけてます。朝ときどき話するんですけど、身体を気づかってくれたり、ちょっと親戚のおばさんみたいで」

「うん、あの人、毎朝出社する社員に入口のところで挨拶してくれて、感じいいよね」
なのに無視する社員が多い、その声と表情には怒りさえ感じられた。

「自分が働いている職場を綺麗に清掃してくれる人をシカトして、見目のいい男には媚びの売り倒し」
うんざりだ、とつぶやいた。

そんな風に思っていたんだ・・・彼の言葉をぽかんと聞く。

「いえあの、わたしはたまたま小宮山さんと気が合って・・・」

「んで、俺を避けたよね」
じろっと、こちらに目を動かす。

「・・・避けたというか・・・白石マネージャー、人に囲まれてたので・・・」

「怖気づいてる?」

「はぃ・・・」
うつむいて答える。
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