それはちょっと
もちろん、告白されることはあったけれども全く知らない人だったので素っ気ない態度で全て断らせてもらった。

そのせいで友人たちから“対応が塩過ぎる”だの“残念美人”だの“顔は100点だけど、態度が0点”だのと言われることになってしまったけれども、その顔はホッと安心した様子だった。

男嫌いだとかトラウマがあると言う訳ではないけれど、恥ずかしながらこの年齢になっても男とキスしたこともなければつきあったこともなかった。

1人は何かと気楽だし、仕事に関しても特に不満はないから定年まで勤めて静かな老後を過ごそうと考えていた。

そしたら、まさかの展開である。


翌日、いつものように会社に出社した。

「――いた…」

部長はすでに出社していて、自分のデスクで仕事をしていた。

彼の端正な横顔を見たとたんに、昨晩の出来事が頭の中によみがえってきた。
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