それはちょっと
「な、何ですか?」

口元がゆるんだ意味がわからなくて、私は聞き返した。

「嬉しいのかなって思って」

そう言った部長に、
「花屋さんに同情しているんです」

私は光よりも早いスピードでツッコミを入れた。

「じゃあ、仕事に戻りますから」

ブラックコーヒーをゴミ箱に捨てたら、
「南くん」

部長に名前を呼ばれた。

「何ですか?」

そう言って部長に声をかけたら、部長はじっと私を見つめていた。

見つめられたその理由がよくわからない。

てっきり何かを言われるのかと思ったけれど、何もないみたいだ。

私は首を傾げると、部長から目をそらした。

「部長も早いところ、仕事に戻ってくださいね」

私はそう声をかけると、その場を後にした。
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