それはちょっと
部長と一緒にカフェを後にすると、
「コーヒー、ごちそうさまでした」

私はお礼を言った。

「僕がしたかったからお礼なんて言わなくていいよ。

こちらこそ、一緒に過ごしてくれてありがとう」

部長は笑いながら言い返した。

「クリスマス…」

「はい」

「いい返事を待ってるから」

部長はそう言ってポンと私の頭をなでると、
「じゃあ、また明日ね」

その場から立ち去った。

彼がいなくなってしまったことに寂しさを感じているのは、私が恋をしたからなんだと思った。

彼女とかお嫁さんとか訳がわからないわがままを言って、勝手にキスをしてくる部長を好きになってしまった。

部長の後ろ姿を見ながら、私は自分の気持ちを感じていた。
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