それはちょっと
私しかいないはずなのに、まだ残業をしている人がいたのだろうか?

そう思いながら視線を向けたら、
「部長…」

そこにいたのは、部長だった。

出張から帰ってくるのは明日のはずだ。

「あっ、南くん…」

私がここにいることに気づいたと言うように、部長が言った。

「お、お帰りなさい…」

呟くように言った私の声に、
「ただいま」

部長は微笑んで返事をしてくれた。

「あの、明日じゃなかったんですか?」

そう聞いた私に、
「思ったよりも早く仕事が終わったから帰ってきた」

部長は答えた。

「南くんは残業?」

聞き返してきた部長に、
「はい、今日までに片づけておきたい仕事があったので」

私は答えた。
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