それはちょっと
ピーンポーン

チャイムが鳴ったので、時計に視線を向けると約束の時間だった。

「はーい」

私は返事をすると、玄関へと足を向かわせた。

ガチャッとドアを開けると、
「こんばんは」

そこにいたのは、部長だった。

「こんばんは」

私はあいさつを返した。

彼が私の家にくるのは2回目だ。

「それじゃあ、お邪魔します」

部長はそう言って、家の中へと足を踏み込んできた。

つきあってから一緒に過ごすと言うのに、彼はどこか余裕だ。

変に緊張している自分が、何だかバカみたいだ。

「今日も寒いね」

部長はコートを脱ぎながら話しかけてきたので、私は彼の手からコートを受け取るとハンガーにかけた。
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