君を愛した時間〜残した宝物
小鳥の鳴き声が聞えてきた。
「……」
目を開けると、カーテンの隙間から光が部屋を明るくしていた。
「はっ!!」
私は半分まで起き上がり、左手に温かいぬくもりを感じた。
「心…」
心は、ベッドに頭を乗せ私の手を握ったまま寝ていた。
私は心の頭を撫でた。
「……んっ……」
「起きた?……」
上を向くと、セラの笑顔があった。
「セラ……、あっ!!ごめん!!俺寝ちゃって!!…」
俺は立ち上がりセラに頭を下げた。
「良いのよ!」
「…えっ?」
「あぁー!久しぶりにゆっくり寝た!」
「……」
セラはベッドの上で背伸びをした。
私は、カーテンを開け窓を開けた。
「わぁー!凄いねここ!!」
セラは、窓の外に見える海を見て言った。
「セラ昨日、何かあったのか?」
「なーんにも…」
「……何か飲むか?」
「うん!ありがとう」
俺は冷蔵庫を開け飲み物を手に取った。
「ほらっ!」
心はジュースをポーンと私に投げた。
「ありがとう!」
「…俺、もうちょっとしたら仕事行かなきゃいけないから…」
「…うん…」
波の風…音…が部屋の中に静かに凪がれていた。
「体大丈夫か?」
「平気よ?何で?」
「昨日咳してたから…」
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