君を愛した時間〜残した宝物
「…おば……ちゃん……産みたいの……私……この子を産みたいの………」
私は、おばちゃんの腕に縋って泣いた。
「…分かった………分かったから……」
おばちゃんは、私を抱きしめながら泣いていた。
私は、おばちゃんに、もう一つ話さなくてはいけない事が、あったけど話せなかった……。
優しいおばちゃんでも、私の病気が再発したと知れば、お腹の子を諦めなさいと言われるはず……この事は、絶対に話せない……。


――誠の話を聞いてから二日後。
俺は、セラの家の前に居た。
「…誰も居ねぇーか…」
セラの家には、明かり一つ点いてなく…真っ暗で静まり返っていた。
俺は、来た坂道を下った。
(心…好き…です)
セラが、俺に言ってくれた言葉を思い出していた。
「………」
(ドンッ!)
俺は、下を向いて歩いていて人とぶつかった。
「すいません!」
「………」
ぶつかった相手は、誤ったが、俺は無言のまま歩きだした。
「…心…君?…」
俺は、振り返った。
「おばさん!」
セラのおばさんが、立っていた。
「やっぱり!お久しぶりね…」
おばさんは、優しい笑顔で微笑んだ。
「はい…久しぶりです」
「家に来なさい」
「……」

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