君を愛した時間〜残した宝物
強い気持ち
俺は、おばさんの後に歩いて歩きだした。
「…さっ、上がって」
おばさんは、玄関を開けた。
「………」
「どうしたの?」
「…上がれません…俺は…セラに姿を消された男ですから…」
「…馬鹿ね……あっ!ごめんなさいね、セラの事だから…まだ、セラは帰って来ないから平気よ!」
「いや、でも…」
「上がりなさい、私一度ちゃんと話がしたかったのよ、心君と」
「………」
おばさんは、俺の背中を押してくれた、居間に上がると、何だか懐かしい感じがした。
「座ってて!今、お茶だすわね」
「すいません」
俺は、温かい家庭の匂いに包まれて、落ち着いていくのを感じた。
「はい、どうぞ」
「すいません、いただきます…」
「…さっきの話だけど……」
おばさんは、湯呑みを両手で包みながら言った。
「さっき…」
「姿を消されたって…」
「…この前、おばさんから検査の事聞いて…俺病院に行ったんです…その後、セラと遊びに行って…俺が、セラの元から離れて、戻ったら突然、姿を消されて……」
「…そう……、ごめんなさいね…そうさせたのは、私達が悪いのね……」
「おばさん達やセラは悪くないです……悪いのは全て俺ですから……」


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