君を愛した時間〜残した宝物
「ごめんな!突然…こいつが、どうしてもセラに会いたいって言うもんだから…」


「…嬉しいです、沙羅さんありがとう…」


私は、椅子から立ち上がろうとした。


「座ってなさいよ!!…」


「沙羅…」


「沙羅さん…」


沙羅さんは、芝生に落ちた膝掛けを私の膝に掛けてくれた。


「…ごめん…ごめんなさい…心の事で、嫌な思いをさせて…」


沙羅さんは、私と目を会わさないで、言った。


「…沙羅さんの気持ち…分かりますから…」


私は、沙羅さんの手を握り言った。


「…あんた…ありがとう、セラ」


沙羅さんは、手を握りかえし涙を流して私の膝元で泣いた。





「…ごめんな、急に沙羅を連れてきて…」


「いや、いいんだよ…セラも今日は、調子がいいし…」


俺と誠は、セラと沙羅から少し離れた場所で、見ていた。


「痩せたな…セラ…」


「あぁ、食べ物を口に入れると吐いてしまうんだ…」


「…そんなに悪いのか」



俺は、頷いた。


「…………」


「俺に出来ることが、あれば言ってくれ…」


「あぁ、ありがとう、でも今は……あっ!一つ頼んでもいいか…」
< 338 / 356 >

この作品をシェア

pagetop