先生って言う名前の人

「華、帰るぞ」

「なんで?また朝だよ」

「いいから」

「やだよ」

「じゃあ俺ひとりで帰るから」

「なんで?待ってよ、待って先生!」

「ーーーーーーさよなら」


目を開けると、先生は隣で肘をついてあたしを見てた。


「びっくりした。急に起きるなよ」


「、、変な夢みた」


先生に置いていかれたかと思った。

先生が本当に隣にいるか確かめたくて、先生の胸元におでこをひっつけた。


先生の心臓の音がする。

夢でよかった。


頭の上からおはよ、と聞こえて、あたしは先生の顔を見ておはよ、と答えた。


「もっかい温泉入るか、朝ご飯か、どっちがいい?」


先生は優しくそう聞いてきた。


いつから起きてたんだろう。

お腹空いたのかな。

でも、、

「、、もうちょっとこのままがいい」


あたしはもう一回先生の胸におでこをひっつけて、先生の手をとって自分の頭に持って行くと、


先生は優しく頭を撫でてくれた。



ほんとはもうちょっとじゃなくて、

ずっとこのままがいい。


起きると今日が終わって、学校が始まって、


またみんなの先生になっちゃうから。



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