先生って言う名前の人
家に着いて早速、おばあちゃんと晩御飯の支度をした。
「先生喜んでくれるかな」
「ふふ、喜んでくれるといいねえ」
おばあちゃんとあらかじめ用意しておいた先生への誕生日プレゼントを食器棚の引き出しに隠して、
先生が帰ってくるのを楽しみにハンバーグを作った。
先生は思ってたより早く帰って来て、玄関のドアが開く音がすると走って迎えに行った。
「先生おかえり!ご飯食べよ」
先生の腕を引っ張ってリビングに連れてくと、先生はいいにおい、と言って笑ってる。
それから3人でハンバーグを食べて、ケーキを食べて、先生とおばあちゃんはビールを飲んだ。
あたしはいつも通りおばあちゃんが見てない隙を狙って先生のビールを横取りする。
どうってことないけど、些細な幸せ。
食器棚からプレゼントを出して先生に差し出すと、先生は少し驚いて嬉しそうに受け取ってくれた。
丁寧にゆっくり箱を開ける先生を見てると、どきどきする。
先生は箱からネクタイを出して、手にとってじっと見つめた。
「つけてくれる?」
「うん、つける。毎日つける。ありがとう。
おばあさんもありがとうございます」
そう言って先生はネクタイをまた箱の中に大事そうにしまった。
その日から先生を学校で見かけると、いつもそのネクタイをつけてくれていた。