天神の系譜の奇妙なオムニバス
リュートの両手の氷が、瞬時にして蒸発した。

目の前が水蒸気で真っ白に煙る。

その中から。

「熱っっ!」

炎を纏った拳が突き出され、ティグルは思わず声を上げる。

グリフィノー拳闘術・炎の型。

「でも、多分サラマンダーの炎もそういう風に使うと思ったよ。リュー君強くなったけど、予想の範疇を出ない技だよねえ」

言い換えれば予測しやすい技。

ティグルほどの経験豊富な勇者ならば、回避は容易い。

そう思った矢先。

「!!」

頭部に叩き付けられる石斧…いや、踵落とし!

まだ周囲に残る水蒸気で攪乱したリュートが、素早い跳躍からのグリフィノー拳闘術・地の型を繰り出したのだ。

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