天神の系譜の奇妙なオムニバス
天守閣。

「ふんんんんんんんん!」

振り下ろされた東郷の槍を、リュートは交差させた腕で受け止めた。

その瞬間、足元の畳が陥没する。

受けた腕がミシリと音を立てた。

筋肉が軋み、膝が笑う。

受けたのは槍の穂先ではなく、柄の部分だ。

にもかかわらず、腕が酷く痛む。

一撃で根こそぎ心を折られるような感覚。

魔術か、精霊術か。

否、これは戦場を幾つも潜り抜けてきた百戦錬磨の軍人が持つ『格』としての強さ。

反撃など、とんでもない。

このまま耐え忍ぶだけで限界だった。

ビリビリと、衝撃が全身を貫く。

重く、息苦しくなるような一撃。

如何に修行を続けてきたとはいえ、所詮は太平の時代を生きてきた若輩者。

動乱を潜り続けたヒノモトの剛の者に、押されるのは必定だった。

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