【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


「……非科学的だね」


「だから、誰も信じんのじゃ。だが、素敵な話だろう?」


昔から、語り継がれる非科学的なお話。


(“風”を使った、最後の巫女。なら、最初の巫女の生まれ代わりである、私は……)


相馬のいないところで、あれこれを考えるのはだめだとわかってる。


けど、どうしても、知りたいと思ってしまう。


抜け落ちた、夕蘭の記憶。


それを取り戻したら、相馬の痛みに寄り添えるような気がして……


「おじいちゃん、聞かせてくれて、ありがと。それと、その髪飾りと扇子、私に売ってくれない?」


普段は、絶対に身に付けないものだけれど。


何故か、美しく感じるから。


「買ってくれるのかい?」


「だって、綺麗なんだもの。おじいちゃん、手先が器用すぎるわ」


「ハッ、ハッ、ハッ……ありがとうな。ほな、ほんの少し、負けてやろう」


「わーい、ありがと!」


気前の良いおじいさんだった。


笑顔の似合う、そんな人。


私にも祖父がいたならば、こんな感じなのかと、密かに考えた。


(……復讐する、相手なのに)



父が復讐した、私の父方の祖父。


そして、私が、もう一人の母方の祖父に復讐する。



(……せめて、おばあちゃんたちが生きていれば)



あったことのない、人達。


今は、どこで何をしているのだろうか。


私達のことを見守っているのだろうか。


朝陽は、逢ったのだろうか。


聞きたいことは、色々あった。


でも、それを口にすることすら、私には罪深いことのように感じた。



「……あ、ほんまにおったわ。流石やな……」


おじいさんと別れ、通りを歩いていると。


「ちょっと、お茶しいひん?」


…………どこかであった、超絶美人にナンパされました。



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