【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


「……紗夜華、花火をしに行こう」


だが、決定的に二人が違うのは、親の愛を得たか、得てないか。


沙耶は得すぎて、苦しんでいる。


得すぎて、謝り続けている。


自分の起こした罪に――……


「え……でも、夜だよ?」


紗夜華は愛されなかった、人間の部類だ。

しかし、戸惑う声に、絶望はない。


「夜でもできるよ。連れてってあげる」


「バレたら……」


「バレないように、窓から出れば良い」


大きな窓。


紗夜華が孤独に眺める、ガラス一枚越しの外の世界。


「……行く?」


「……ここ、八階なのに」


「全然、余裕」


「ふふっ、流石、妖怪様ね」


手を差し出せば、彼女は笑って。


「行きたい」


俺の手を、とる。


こんなとき、思うんだ。


相馬ほどではないけれど、ほんの少しの前世への後悔。


「おいで」


その手を引き、抱き上げる。


ぎゅっと、首にしがみつくのが可愛くて。

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