【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


あの時、俺が君と同じ時間を生きていたなら。


あの時、君を連れて逃げられる力が俺にあったなら。


あの時、君を抱えて跳ぶ、翼があったなら。


”なら“を、俺たちは繰り返す。


「行くよ」


ベランダに出て、目を閉じる。


漆黒の闇に、溶けるように生える人ではない証のもの。


漆黒の羽が、闇で舞って。


俺は、下を目指して飛び降りた。


< 113 / 759 >

この作品をシェア

pagetop