【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
第一奥方の時は儀式に対して躊躇わなかったくせに、第二奥方の祖母の時は躊躇いまくったという祖父。
第一奥方は、本当に不憫だと思う。
家の命令で嫁がされ、鬼の血を持つ花嫁にされ、愛されず、儀式を受け、妊娠し、子を生んで死んでしまったのだから。
どれだけ、祖父が結婚したくなかったのかが、嫌と言うほどに表れているものだった。
第二奥方……涼夏の時は、愛妻家と呼ばれたほどらしい。
何せ、父、陽介は六人兄弟である。
祖父……御園圭介は、妻、御園涼夏との間に、六人も子を成しているのだ。
そして、父の陽介は母の千波を溺愛し、俺らをはじめとした四人の子供に恵まれた。
妹の千華は自由人がゆえ、海外を飛び回っていて、俺らものんびり、妻と隠居している。
因みに、現在、妻達は別の部屋で女子会中である。
弟の春馬は、行方不明。
いや、医学を勉強していると聞く。
春馬は相馬達の父親だが、妻であった和子を捨て、行方をくらました。
妻が壊れていくのを、見てられなくて。
救いたいと思ったことが裏目に出て、京子は父親を嫌いに、相馬は深い傷を負って、春馬は帰るに帰ってこれない状況となった。
春馬と和子はいとこ同士で、和子は幼い頃から、春馬に恋い焦がれていた。
圭介じいさんは、第一奥方の間に稜さんを授かっており、そんな稜さんが妻をめとって、生まれたのが和子と総司だ。
俺たちは、圭介じいさんがもっとも愛した、第二奥方との間に生まれた陽介(父)と千波(母)から生まれてきたから、和子と春馬はいとこ同士となる。