【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


愛しているから、手放せない。
愛しているから、誰にも渡したくない。
愛しているから…


(夕蘭…)


笑った彼女の笑顔が鮮明に脳裏に写し出された。

そう、愛しているから、生きていて欲しい。

そのためになら、なんだってする。

もう、数千年前に決めているんだ。

泣きながら、消えた少女。


追い求めて、やっと、見つけた。


(どうか……)


命は廻るもの。
神はなにもしない。
分かっているけれど。
願わずにはいられない。


(こいつが無事で笑って幸せに暮らせますように)


愛しい人を腕のなかに閉じ込めたまま、相馬は天を、月を見上げて、心から願った。

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