【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「こっちに運べ!」
残ったのは、多くの犠牲者。
重症のものがほとんどで、俺も、大きな傷を負った。
深々と刺さった、武器。
それを抜いて、俺は痛みに耐えながら、神経を研ぎ澄ませた。
持つ力によって、癒される、傷。
「相馬!お前、傷は?」
「治ったから、大丈夫だ」
バタバタと人間、妖怪関係なく、手当てのために走り回る。
俺も、持つ力で手伝いをしようと、沙耶を抱いたまま、立ち上がろうとしたとき。
「っ……手が足りねぇ!」
バタバタと千羽の者たちが、目の前を走り抜けた。
「若たちは!?」
「手当てしてる!それ以前に……薫さま!」
怪我を負った俺以外の幼馴染みは、千羽の者たちに手当てをされていた。
その中で、一番の重傷者は、薫だった。