【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「……おかしいでしょう?大兄ちゃんにかいつまんで、聞いた話。あの日ね、私が発作を起こす前……大兄ちゃん達と楽しく(?)飾りつけをしていたの。そしたら、朝陽から電話がかかってきて、逃げろって」
「逃げろ?」
あの人の追っ手がなければ、朝陽は生きていた。
アイラは、私達のところにいた。
大樹のお母さんでいられた。
なのに、あの日、あの人が……
「私のお母さんを地獄に叩き落とし、アイラを騙し続け、自分の妻をも駒だと言い切った存在……私と大兄ちゃんの祖父であり、私のお母さんとアイラの父である、元藤島グループの総帥、藤島雷紀(らいき)」
そう、全てはこの人が元凶で。
「あの人の追っ手が、朝陽たちを追い詰め、私達を捕らえようとしたの」
お母さん……ユイラとアイラという駒を、お父さん……健斗のせいで失ったから。
今度は、大兄ちゃんが……
「私はまだ、学生だ。だから、まだ、大丈夫。でも、大兄ちゃんは……利用価値が溢れた存在でしょう?」
学生でもなく、社会人。
おまけに、親の保護下にいるわけでもない。
そして、成績優秀、運動神経抜群、容姿端麗……何をやらせても、完璧な人。
「アイラはね、金髪なの。そして、青い瞳。お母さんとアイラは双子なのよ。なのに、面白いくらいに容姿が正反対。お母さんは、黒髪に漆黒の瞳。なのに、アイラは……」
この双子を天秤にかけ、どちらが利用価値があるか。
あの人が下した判断では、アイラの方が利用価値のあった。