【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


今まで、この世界に俺たちがやって来てからというもの、央耀のせいで、何人が命を落としたのかわからない。


だから、みんな気を張る。


でも、瀧を見ていると、みんな、気が抜かす。


「……もう、終わるだろうな」


「え?」


遠くを見て、ふと、瀧が呟いたその言葉。


「この茶番だよ。もう、終わる」


確信しているような言い方。


何か、その証拠でもあるのだろうか。


そう思っていると。


「……あれー?始まりの巫女、君のそばにいないの?」


マントを被った、背の低い少年か、少女がそう言いながら、俺たちに近づいてくる……。


「命令、果たせないじゃん。まぁ、いいかぁ……ひとりでも殺して帰れば、誉めてくれるよねぇぇぇ!」


気の狂った彼は叫び、そして、俺たちを攻撃する。


「阿呆が」


舌打ちと共にそう吐き捨てた瀧は、弓を守る体制に入ると、すぐに“術返し”をした。


これは、瑛醒が得意だった技。


相手からの攻撃を、すべてそっくりそのまま返す技。


鏡を反射させるようなものだから、体力面にたいして影響はなく、続いて、他の攻撃を仕掛けることが可能な技だ。


けれど……
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