【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
■雪side□




まだ、千夏が生きていた頃。


俺は、一人の少年を拾った。


血にまみれてなお、笑う少年を。


色々なことを教えたその少年は、大きく成長し、今や、黒橋グループの総帥となった。


そんな、黒橋健斗の娘……黒橋沙耶。


父親と同じようにポーカーフェイスで、どんな場でも乗りきる、息を吐くように嘘をつける女。


そんな彼女は、本当は素直で弱い、健斗の溺愛する妻、ユイラ似だと気づいたのは、沙耶が壊れたとき。


その姿は容姿だけではなく、ユイラと重なり、俺は正直に驚いた。


そして、健斗のすごいところは相手を手玉にとることが上手なところである。



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