【完】☆真実の“愛”―君だけを―2

嘘と真実

■相馬side□



「相馬、おはよう!」


午前、六時頃。


いつもはまだ、沙耶が眠っている時間帯に病室に戻ると、元気の良い挨拶が飛んできた。


「おはよう、今日は早いんだな」


「えへへ、双子に会いたくてさ。気が急いちゃって。ところで、ずっと気になっていたんだけど、双子の名前さ、何にしたの?」


今、ここで、このタイミングで聞くか。


「……あとからの楽しみで」


「えー?教えてくれても良いじゃん!」


「頑張って、歩いていくんだろ?なら、その達成感と共に楽しみにしとけ」


「うー、わかったよ」


ここで、言えるわけがない。


約束を破り、双子は黒橋ではなく、御園の子供になってます。……なんて。


「……昨夜さ、相馬寝た?」


「あ?」


「寝る場所、無いじゃん」


気づいているけれど、敢えて、口にしない沙耶。


俺が寝ていないのは、今日だけではないということに沙耶ほどの洞察力の持ち主が、気づかないわけがない。


「寝たよ、ちゃんと」


「どこで?」


「直樹さんに借りて」


「ふーん」


だから、こういうのが嘘だと気づいていても、沙耶は問い詰めたりせず、そこで諦めてくれる。


そして、俺から話すのを待っていてくれるんだ。



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