【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


「仕事、大変なら、無理して私のそばにいなくて良いんだからね」


「姉さんや水樹達が手伝ってくれているから、大丈夫だ。それに、俺が片付ける仕事はあまりない」


「嘘つけ。膨大な量があることは、知ってるから」


なんで、沙耶が知っているんだ?


どこかで、知る機会があっただろうか。


俺には、思い当たらない。


「あ、朝食だ!」


看護師さん達が、朝食を配り始め、沙耶は嬉々としてそれを受け取った。


「ここの入院食、絶品だよね」


めちゃくちゃ良い笑顔で食事する沙耶は、子供を産むときと何ら変わらない。


変わっていない。


変わったとすれば、俺だ。


俺が、変わったんだ。

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