【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


「……っ、……ん?なんかっ、言った?」


「……」


沙耶は、号泣していた。


顔を覆って、涙を流して。


「ごめっ……なんか、双子を見たら、ホッと、して……」


声を殺して、泣く沙耶。


いつだって泣くことを忘れたような人間だった沙耶が、人前で泣く。


それは奇跡に近いことであり、何より、沙耶が自分の弱さを素直に見せてくれたことが嬉しかった。


「……ああ」


沙耶を抱き寄せると、沙耶は抱きついてくる。


「よく、頑張ったな。有難う、双子を生んでくれて……お前も、生きていてくれて、有難う」


「うー」


俺の腕のなかで、泣きじゃくる沙耶。


ずっと隠れていた、小さな寂しがり屋の女の子。


「……今、死んでも、思い残すことないな」


そんな沙耶は泣き笑いながら、そう言った。


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