【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


「そしたら、タガが外れたように大泣きしたよ。どうすれば良いんだと、本当に、それは……もう……」


そして、甲斐も相馬を大切に思っている。


悲しそうな顔をする彼は、続けた。


「そして、それがバネとなったように、生き始めた。まぁ、母親に裏切られた痛みは消えず、女に言い寄られるままに遊んでいたが……沙耶に出逢って、変わった。だからさ、相馬が異常なのは、一種の現実逃避の結果だと思って、見逃してくれな」


「いや……相馬のことは理解しているし、ビックリはするけれど、大丈夫だよ。そんなに、簡単に離れてやる気はないし。私が言いたいのは、自分の身内にだし」


本当、この物語には異常な人間しか出てこないのかと問いたいくらいに、出てこない。


平凡な人間というものが。


「ハハッ、まぁ、健斗さんたちも、それなりに大変な人生を歩んできたんだろうよ」


「……」


「……沙耶?どうした?」


甲斐が、笑った。


普段、怪しい笑みしか浮かべていない甲斐が。


それを良いことととるべきなのか、


恐ろしいと思うべきなのか、


私にはわからなかった。

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