【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


ともかく、この日、私たちと祖父の間にあった確執は消え、これからも仲良くやっていくこととなったが、藤島は祖父の老衰と願いにより、黒橋グループに合併する運びとなった。


大きな合併でメディアが騒いだが、それすらも祖父と父と兄は立派に説明を誤魔化してみせ、祖父は余生を多喜子さんと御園の別邸で暮らすこととなった。


その際、お母さんとアイラの母親であり、祖父の最大の理解者でもあった、祖父の後悔の証のセイラさんの墓も庭に作られ、死後はそこに皆で入るらしい。


それが、最後の望みなんだそうだ。


私はその望みを聞き入れ、度々、遊びに行くことになった。


普通の孫として、悪役を演じる祖父にではなく、本当の心優しき祖父に孫三人で向き合うことができたのなら、離れていた年月も埋めることができると踏んだのだ。


大兄ちゃんは、なんとか、春ちゃんと纏まったらしい。
子供のことを言うと、大泣きされたって。
相変わらずだよね。
予定日は、来年の五月だそうだ。
とても、楽しみである。



アイラやお母さんも頻繁に祖父の様子を見に行くようになり、雅弘さんはアイラを守るためだけに、ボディーガードを続行。


そして、お母さんが祖父に会いに行くせいで、二人きりになれる時間が減ったお父さんは、じみに不機嫌である。


当たり前の日常が少しずつ、変化していく。


そして……


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