【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


「桜は?準備中?」


「化粧する前に脱走しまして。今、捕まってます」


「……どんなに頑張っても、ああいうところはなおらなかったんだよねぇ~」


直そうと、色んな教育を施した瞬さんだが、桜はそれを悉く裏切り、教えられたことは綺麗に吸収して発揮するが、大事な性格は直らないという……何とも、難有りな完璧な女が出来上がった。


「ま、桜の運命を考えれば、逞しいほうが良かったし、京くんに似たのも感謝したんだけどさぁ~」


焔棠京。


桜の父親であり、薫の叔父に当たる彼は、教師という職業にも関わらず、暴走族の元トップであり、度々、問題を起こして……最後には、生徒と禁忌の恋をして死んだ人である。


滅茶滅茶な人間だったが、人情に厚く、弱いもの虐めはしないと断言していた人のようだから、悪い人ではなかったように思える。


「美桜の容姿で、中身は京くん。……最後には、薫がもらってくれたから、良いんだけど」


桜ほどの容姿の女を放って男はいないと思うが。


それには勿論、


「見た目は母親、中身は父親か……私みたいだな」


沙耶も含まれる。


「納得するなよ」


「事実じゃん。それに、相馬がもらってくれたし、良いかなーって」


サッパリとし過ぎている俺の妻。


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