【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


「はぁー」


思わず、ため息をつくと。


「フフっ、幸せ、逃げるよー?」


原因が笑って、そう言ってくる。


変わらない。


本当に、変わらない。


何も……


「―みんなー!集まってー!!写真ー!!」


遠くから聞こえてきたその声は、沙耶を微笑ませた。


「ほら、澪が呼んでる」


ピョンピョン跳び跳ねている、澪。


それを優しい顔で見つめる沙耶。


「幸せになろうね?」


そう言って、微笑んだ彼女。


「桜や、薫に負けないくらいに」


確かに。


あの二人は、かけがえのない夫婦になるだろう。


『誓います』


二日前のことだが、俺は忘れない。


きっと、死ぬまで忘れられない。


愛しい女を、完全に手に入れた瞬間のことは。


「行こ!」


―貫ける。


母さんに、出来なかったこと。


それは、俺にはできる。


否、出来るとか、出来ないとかではなく、してみせる。


俺は、差し出された沙耶の手を取って、ゆっくりと澪の元へと歩き始めた。


これから始まる、沙耶との生活。


まだ、トラウマが抜けないから……だが、いつかは必ず、ぶつかる壁。


“儀式”という名の壁は……きっと、この手が繋がれている限り、俺は越えられる気がする。


沙耶を失うことよりも、怖いあの事を。


「お待たせー!」


何があろうと、守り抜こう。


せめて、愛しいこの女の“真実の”笑顔だけは。



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