天馬空を行く


"とりあえず、行ってみるか……"



自分の中にある重苦しい気持ちを、

無理やり切り替える。



そして患者のいる病室へと足を運ぶ。


カルテには "佐倉愛夏" と名前が記載されていた。


医院長からその患者の担当を任された。



彼女はベッドで眠っていた。


"やっぱり小さくて細い"



普通のサイズのベッドが大きく見えるくらい。


見るからに、か弱い小さな子ども。


"こんな俺が、彼女のことを救えるのか?"



そんなことを考えながら、
ぼんやりと彼女のことを見つめていた。


< 57 / 134 >

この作品をシェア

pagetop