シンデレラLOVERS
「久しぶり善くん」
さっきからわたしの方なんて全く目を向けなかった静葉さんが、初めてチラリとこちらを一瞥した。
「……その娘、彼女?」
ワザとらしく善雅くんに投げかけた単刀直入な質問に、わたしは思わず息をのむ。
善雅くんは何て答えるんだろう。
こんな綺麗な人を前にして、何て答えるの?
「いや」
たった二言。
短く呟いた善雅くんの言葉が、わたしの胸に突き刺さったみたいに痛みを生み出す。
頭ではわかってたはずなのに……。
目の前で善雅くんにハッキリ言われると、やっぱり辛くて悲しかった。
さっきから善雅くんはわたしの方なんて全く見ようとしない。
善雅くんは今何を感じてるんだろう……。
どうしてこっちを見てくれないの?
「良かった~! 善くんの趣味が変わっちゃったのかと思ったよ」
善雅くんの答えを聞いた静葉さんは嬉しそうに笑って、何の躊躇いも無く彼の腕に抱きついた。
わたしには近くて遠かった善雅くんとの距離も、静葉さんには何でもない。
それに、二人が寄り添うとすごくお似合いだ。
やっぱりキラキラした善雅くんの隣は、こんな華やかな美人な女の子が似合う。
……地味なわたしなんかじゃなくて、華やかで綺麗な静葉さんが。
「ねぇ、やり直そうよ?」
上目遣いに善雅くんを見つめていた静葉さんが、そっと耳元に顔を寄せて囁いた甘い言葉。
善雅くん……何て答えるの?
わかりきった答えを善雅くんの口から聞けば、諦められるような気がして……わたしは善雅くんの言葉を待っていた。