シンデレラLOVERS
静葉を見返したいって思ってたリベンジが果たされた。
ようやく満たされるはずだった心の中には、何故か不満と苛立ちばかりが募っていた。
「もっかいしよ」
そう言って静葉が俺の背中にピタリと体を寄せてきた。
回された静葉の両手に視線を下ろす。
静葉の白くて細い指先を見つめながら、心の中にモヤモヤした気持ちが膨らんでいく。
……違う。
俺が求めてるのは……この手じゃない。
俺が本当に触れたい手は、もっと小さくてもっと冷たかった。
待ちぼうけを食らわして寒空の下でひたすら待たせて……かじかんで冷たくなった手だ。
壊れてしまいそうなくらい震えてた体も、不安だらけの顔も……柔らかい髪の感触も匂いも……全てが愛しいんだって実感してしまった瞬間だった。
毎日毎日鬱陶しいって思ってた笑顔が今、無性に見たい。
なのに、あんなに笑ってた顔より真っ先に浮かんでくるのは……最初で最後に見た泣き顔だった。
……仕方ない。
俺の為に向けられてた笑顔を泣き顔に変えたのは、他でもない俺自身だから。