シンデレラLOVERS
「俺の名前呼びながら、おまえは俺にずっと笑ってればいいんだよ!」
日菜琉の笑顔が好きだ。
そう伝えたいのに、俺の唇から出るのはやっぱりこんなのばかり。
「だから泣いたりすんな! どうしたらいいかわかんねぇし……」
こう告げた瞬間、日菜琉の目から思いっ切り涙が溢れ出した。
……案の定だ。
こんな無茶苦茶な告白じゃ伝わるモノだって伝わらない。
上手く伝えられないもどかしさと、泣かせた後悔が全身に巡っていく感覚……。
ポロポロ涙を溢れさせて泣いている日菜琉を見つめながら、ますますどうしたらいいのかわからなくなった。
とりあえず、こんな告白しか出来なくてごめんって日菜琉に謝ろう。
そう思って、日菜琉から体を離そうと動いた時だった。
「まだ行っちゃダメだよ」
「えっ……」
俺の服を引っ張った日菜琉がそれを止めた。
まだ涙が残ってる潤んだ目で俺をじっと見つめ、ゆっくりと口を開いていく。
「わたし、まだ言ってないよ」
覆い被さってた俺の前に体を起こした日菜琉が、腕を伸ばしてそっと俺の頬に指先を添えた。
俺に言いたい文句なんて山程あるだろう……。
それを全部受け入れる覚悟で日菜琉の言葉を待っていた俺の耳に、思いもしなかった声が入ってくる。
「いいよ。全部」
「……はっ?」
「だから、ちゃんとわたしを見て……笑ってくれる?」
日菜琉からの予想外の申し出に状況が掴めずにポカンとする俺と、不安げに見つめる半泣きの日菜琉。
俺に告げられたのは日菜琉からの文句でなく、日菜琉からの二度目の告白だった。