好きの海に溺れそう
「ヤキモチ?」

「ヤキモチ…」



抱きしめられながら話す。



海琉はあたしの肩に顔を沈めた。



かわいい…。



海琉がすごく愛おしくて、急にキスしたくなった。



「海琉、チューしよ?」

「え?」



顔を上げて聞き返す海琉に、急にキスした。



「へへっ」



あたしが笑うと海琉の顔が少し赤くなった。



ますますかわいくて、あたしは夢中でキスし続けた。



無言のキスが続く。



「ちょっ…杏…光?」

「海琉の知らない世界…教えてあげる」



絡ませた海琉の手が熱い。



「口…あけて?」



魔法にかかったように甘いキスを続ける。



深くて甘くて…とろけそう。



このまま海琉と…。



海琉をゆっくり押し倒した。



「あたしたちが初めてキスしたときみたいだね?」



一旦キスをやめてそう言うあたしは、たぶん相当エロい顔してる。



海琉の顔の熱を感じる。



あたしたちが初めてキスしたときも、あたしが押し倒した。



だけど全然こんな雰囲気じゃなくて…



関係がどんどん濃くなってる。



それが嬉しくて、もう一度キスをしようとした。



「杏光ちゃーん!もし泊まるならお風呂入っちゃってー!」



え!?



急に聞こえた部屋の外の雛子さんの声であたしは我に返った。



そうだ…。



今ここでするわけにはいかないんだった。



ゴムもないし…。



あたしは海琉の上からどいた。



「急にごめんね?」

「いや…うん…。まあびっくりしたけど…」

「やっぱり今日は泊まらずに帰る」



こんな気持ちのまま泊まるなんて無理。



抑えられなくなっちゃう…。



だけど…。



今日は、色々なことが詰まった、忘れられない一日だった。
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