好きの海に溺れそう
「…」

「歩のこと、好きになりたいって思ってるんでしょ?」

「…うん」



やった!



歩のことが好きって言ったわけじゃないけど、ほぼほぼ答えは出ている。



「信じるとか信じないとか。そんなの接してみないとわからないよ。まずは歩の目とか気持ち、よく見てみたら?」



日夏ってこういうことに素直になるのが苦手だから…。



だけどそんな日夏にはまっすぐな歩が合ってるよ。



人の気持ちはどうしようもないけど、2人が幸せになれるといいな…。



その日の夜は日夏とたくさん話して更けていった。



二日目の今日はグループ行動でそれぞれ次のホテルに移動する。



2、3、4日目で泊まるそのホテルは、今日泊まったような2人部屋ではなく、クラスの女子全員が泊まる大部屋だ。



そっちも楽しみ。



日夏と夜更かしで眠い身体でのそのそと準備をしたら出発だ。



今日のグループは、前に引いたくじで、あたしと日夏、それからクラスの男子2人に決まっている。



男子はまあまあ話したことがある人で安心…。



片方は中学同じだし。



「ん~パイナップル最高…」

「お前ら食ってばっかだな」

「だってせっかく来たのに食べなきゃ損じゃん!」



私たちのグループ…っていうか、あたしと日夏はとにかく食べ歩き。



今から向かう琉球ガラスの製作体験までの道でも、アイスなんか食べてる。



「作ったガラス海琉にあげよーっと」

「あ、暮名の彼氏って海琉か」



前を歩いてる同中の男子が振り返ってあたしに行った。



「ん?海琉のこと知ってんの?」

「バレー部の後輩だったし、中学のとき」

「あそっか、あんたバレー部だったっけ!」



言われてみれば一緒にいるの、見覚えあるわ…。



「まさかお前らが付き合うとは思ってなかったけど…」

「あたしも思ってなかった」

「でもたまに試合来てたよな。『付き合ってんの?』って聞いたら真顔でありえないって言ってたし」
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