好きの海に溺れそう
恋する文化祭
~海琉~

短い春休みは一瞬で終わり、俺たちは進級した。



俺、悠麗、玖麗の3人は2年生に、杏光は3年生になった。



でも進級したとはいえ、教室とクラスが変わるだけであとはほとんど変わらない。



杏光は日夏先輩とまた同じクラスになれたらしい。



俺の方も、新太とまた同じクラス。



でも、杏光が留年でもしない限り俺たちが同じクラスになることはあり得ない…。



つまんないなあ…。



悠麗と玖麗は、今年は同じクラスになれたみたいだ。



あと、玖麗が体育祭の時にできた友達とも。



楽しいみたいで一安心だ。



帰りのホームルームが終わると、杏光がいつも通り俺のクラスに来た。



「かーいる!」

「今行く!」



毎日こんなことを繰り返してたら、クラスでいじられるようになってしまった…。



「奥さん待たせんなよ~」

「今日もデートですか-」



中学生みたいな冷やかしを毎度受けてるんだけど、杏光はまんざらでもなさそう。



まあいっか…。



あと、俺のクラスでは杏光がすっかり覚えられて、去年と今年の俺のクラスの人と学校で会うと挨拶されるらしい。



それもまんざらでもなさそうだ。



「明日、委員会決めだね~」



帰りながらなんとなく話す俺たち。



家までの道が惜しくてゆっくりゆっくり歩く。



学校ではあんまり会えないからこういう時間が大事。



「文化祭とかもあるからクラスとか一緒が良かったよね」



俺が言うと「本当にねー」と返す杏光。



でも、そのあと急にばっとこっちを見た。



「海琉!」

「ん!?」

「文化祭実行委員一緒にやらない!?」



あ、それ名案かも…。



実行委員なら文化祭までの期間中も文化祭中も一緒にいる時間が増える。



文化祭は6月くらいだから2ヶ月程度だけど、その間は委員として杏光と一緒にいられる!



というわけで、次の日の委員会決めではすぐ文化祭実行委員に立候補した。
< 168 / 350 >

この作品をシェア

pagetop