好きの海に溺れそう

めんどくさがって誰もやらないから一安心。



杏光にその場でメッセージを送ったら杏光もちゃんとなれたようだ。



「文化祭はもうすぐだから文化委員は今日の放課後集まるように」



先生の言葉でその時間は終わった。



これで、杏光と学校の中で一緒にいられる。



放課後になって指定された教室に行って座ってたら、後ろからポン、と肩に手を置かれた。



杏光の手の感じじゃないけど誰だろ？



振り返ったら、去年同じクラスだった神城さんだった。



「久しぶり～」



そのまま、俺の前の席に座る。



去年はあんまり話したことなかったけど、どうしたんだろ？



そう思ったら、神城さんはかなり意外なことを口にした。



「あたし、杏光先輩と海琉くんのファンなんだよね！」



えーっと…？



なんて言った…？



ファン…？



「ファンって…？」

「2人の関係とか、2人の雰囲気を見るのが大好きなの！」



こわい！！



俺ら、普通の高校生なんだけど…。



混乱してたら、「海琉」と後ろから杏光の声がした。



杏光がそのまま隣に座る。



教室で杏光が隣に座る日が来るなんて思ってもなかったから素直に嬉しい…。



神城さんが杏光を見た。



「あっ彼女さん」

「はじめまして～」

「去年海琉くんと同じクラスだった神城神奈(ｶﾐｼﾛ ｶﾝﾅ)です」



ニコニコしながら杏光に自己紹介する。



「あたしは…」

「あっ知ってます！ 杏光先輩ですよね！」

「知ってくれてるんだ～」

「もちろんです！ 毎日放課後クラスに来てましたし、それにあたし、2人のファンで！！」



ほら、これだよ…。



いきなりすぎる言葉が神奈ちゃんから飛び出して、さすがの杏光もびっくりしてる様子だ。



「杏光～。神城さんわけわかんないんだよ、ずっとこんなこと言ってるの…」

「だからね、推しカプっていうの？ そんな感じ」