好きの海に溺れそう
そう言って杏香さんは部屋から出て行ってしまった。



「チューしないと起きない~…」

「わかったよもう…」



ベッドの杏光に一瞬だけキスした。



って、あれ?



なんか杏光熱くない…?



「杏香さーん! なんか杏光熱あるっぽい!」



っていないし…。



とりあえず、体温計を持ってきて杏光に測らせた。



38.3℃…。



高熱じゃん!



「あたし熱あるの…?」

「そうみたい…。大丈夫? しんどくない?」

「ぼーっとする…」



顔色は普段と同じだからわからなかったよ…。



薬を持ってきて、おかゆを作る時間はないから卵雑炊を軽く作った。



「はい、食べな?」

「ありがと…。海琉、学校は? 遅刻…」



時計を見ると、今から行っても確実に遅刻の時間。



たまには大丈夫。



それより杏光が心配…。



最近根詰めすぎだったもんね。



杏光の家の電話から学校に電話した。



「あ、もしもし。3年2組暮名の……隣の家の…者ですが」

《ん? …霜月?》
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