好きの海に溺れそう
放課後になって、帰る仕度をしてたら「じゃあな~。杏光先輩によろしく~」とみんなに言われる始末。



高3にもなってみんな中学生みたいじゃん~…。



まあいっか…。



バイト終わりの時間と杏光の退勤時間がちょうどよくて、家の近くのスーパーで2人で買い物をしながら今日の話をした。



杏光はめちゃくちゃ笑ってる。



「最高~。もっと言ってよ。ラブラブってこと広く公開しよ」

「学校で目立つの俺なんだからね~…」

「あたしが目立ちたいくらいなのに」



そう言いながら、今日の惣菜を選ぶ。



夜ご飯作る時間がないから今日はお惣菜だ。



杏光の好きなきんぴらゴボウを、杏光の持つかごに入れる。



「これは?」



杏光がカボチャの煮付けを持って俺に見せる。



「杏光食べたい?」

「うーん、いいや」



今日食べる分と、あと足りなくなってたシャンプーを買って店を出た。



平坦な道をゆっくり歩いて家に帰る。



マンションのエレベーターに乗ろうとしたら、ちょうど瀬野さんも来た。



背の高い女子大生ぽい人と一緒に並んでる。



Tシャツ風の、丈の短い黒いワンピース。



キャップを被ってて顔はよく見えないけど綺麗な雰囲気だ。



彼女かな?
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