好きの海に溺れそう
もう疲れた…。



その日最後に来たのは、1年生の女の子だった。



可愛い感じの子で、今までとタイプが違う。



1年生の女の子ははじめてかも…。



「海琉くんと付き合っ…てるんですよね」

「そうですが…」

「で、ですよね! あたし、海琉くんとバイト先の松尾るみって言います! 最近ぼーっとすること多かったから大丈夫かなって!」

「あっ、それはそれは…」

「じゃ、じゃあ!」



そう言って行ってしまったその子。



うーん…。あれは本気だねえ…。



だからと言って負ける気はしない。



海琉との帰り道は、やっぱり手を繋ぐ。



「今日超呼び出されたんだけど~…」

「俺も。杏光モテすぎ。ヤキモチ…」

「あたしは海琉だけだにょーん。でもあたしもヤキモチ…」



不安にはならないけどヤキモチは焼くよ。



できれば他の女の子と喋ってほしくないくらいには思ってる。



まあそんな束縛しないけど。



「あたししか見えなくなればいいのに…。」

「もう杏光しか見えてないよ~?」

「んー! 好き!」



今、これ以上ないくらい海琉が好きなのに、それ以上好きになる予感がしてる。



あたしは今、幸せだ。
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