きみが嘘をつくから。

好き




「なー、春馬。」

何かを思い出したように匡平に声を掛けられた。



コントローラーで操作しながら、んー?と怠そうに返す。




「大輝ってさ、杉原さんと付き合ってんの?」





あーあ、また死んだ。



態と深い溜息をつく。



さっき学校で話してたし、一緒に教室出てったもんな。



「……知らね。」

本当は知ってるけど勝手に教えるのは駄目な気がした。


というか、嘘だったらいいななんて思ってる。



「ふーん。俺さ、春馬は杉原さんの事好きなんだと思ってた。」

嫌なところを突かれた。


否定が出来ず俺が何も答えないでいると、マジで?と一瞬こっちを向く。



「好きとかよく分かんねーわ。」

別に誰も見てないけど、顔が見えない様に髪を触るふりをして隠した。





好きじゃない。


好きとかよく分かんない。


好きになんてならない。


好きになるわけない。



自分に言い聞かせるけど全部嘘に思えた。




…好きになりたくない、なんて。



もう好きになってんじゃねぇか……。




でも、それを答えにはしたくなかった。


そうしたら何か大切な物が壊れてしまうと思った。



心臓を掴まれたみたいに痛くなって、また深い溜息をついた。


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