カカオ1000%
「こらー!お前ら席に着けー!」

先生のしぶい声が春休み開けたばかりの

ホコリかぶった教室中に響き渡る

「…ほわぁー」

「春休み開け早々元気だなぁ上ちゃんは」

少しチャラめのこの茶髪の男子が

私の幼馴染み、空(タカ)くん

上ちゃんと言うのはクラス担任の上田先生のこと

先生の一言でしーーーんとなってた教室が

一瞬にしてまたざわついた

「んもう!うるさいよぉ!」

「僕せっかくいい夢みてたのにぃ!」

少し袖の長いシャツで目を擦りながら

このざわついた教室を静かにするのが

さっきまで机にうつ伏せになって

眠そうにしてた翔琉の係だ

私的にはこのアッシュっぽい髪色が好き

灰色とかグレーとかそっち系の色

と、ここまでは

いままでと全く変わらない

私達のいつもの学校生活

「入って来い!」

ガラララララァー

閉じたドアを再び開ける

誰か見たことない男子が教室に入ってきた

"前髪が長い真っ黒の髪の毛の男子"

って言うのが豹くんの第一印象

「転校生の『黒瀬 豹』だ」

教卓の前に立って下を向いている

「せっかくだからみんなに自己紹介しろ」

急な自己紹介に戸惑ったのか

「えぇ…?」

豹くんがこの教室に入って初めて発した言葉

「いいじゃないか!」

「あ!ほらほらクラスのみんな待ってるぞ?」

こうして半強制的に

豹くんは自己紹介をさせられた

「えっっと…」

「城下高校から来ました黒瀬です」

「人見知りなのであまり話さないけど」

「よろしくお願いします…」

下を向いたままボソボソ喋る豹くんは

私のイメージしてたキャラと全然ちがった

前髪に隠れて見えない豹くんの顔を

私は少し見てみたいと思った


今日は始業式だから

今日だけ4時間授業で

いつもより早く帰ることができた

空くんが豹くんを

"一緒に帰ろうぜ!"

って誘ってた

いつも4人で一緒に登下校してるけど

今日の帰り道だけは5人で帰ることになりそう
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