眠り王子が完璧に目覚めたら



城はまだ翼を抱きしめている。


「あのおばはん凄いな…
俺達の未来をまんまと当てやがった」


翼は何も言わずにただ黙っていた。
狐にでもつままれたような顔をして。


「じゃ、室長はあの晩に私を介抱してくれたんですね…
あの晩は、占いの館を出た後に居酒屋に入って、その後の記憶は全くありません。
残念ながら…」


「分かってる…
逆に、あんなにぐでんぐでんに酔っ払ってて記憶があったら怖いよ」


城はクスッと笑った翼に軽くキスをした。


「ねえ、このコンビニで食べる物買って帰ろうか。
すぐに家に帰りたい…

もう俺と翼が結ばれるのに、何も障壁はないよな?

裏通りのおばさんまでもが応援してくれてるのに」


翼はまたクスッと笑う。
城にとってその笑顔は、OKの二文字と同じだった。

城は翼を助手席にちゃんと座らせ、優しくシートベルトをしてあげる。
こんなにも愛おしくて可愛くて大切に思う気持ちは、城の中で湯水のように湧き上がる。

早く一つになりたい…


「よし、帰るぞ!」


城は颯爽と運転をし始めた。


「室長、買い物は?」


隣で翼の声が聞こえたが、聞こえないふりをして城はスピードを上げる。

食べ物なんて要らない。
何故なら、俺は、一秒でも早く翼を食べたいんです。

はぁ、セックスをこんなに待ち遠しく思うなんて、俺はやっぱりどうかしてる…










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