眠り王子が完璧に目覚めたら



でも、城は翼がこの会社に入ってから、確実に変わった。
翼以外の人間には相変わらず冷たかったが、それでも翼を見る目は隠し切れない。


ある日、唯一仲良くしている桜井さんから仕事中にメールが来た。

“ちょっと聞きたい事があるから、ランチ一緒にしない?”

最近、職場での居心地の悪さを感じ取っていた翼は、何となく察しがついた。
でも、メールでは快く返事をして、近くのカフェで桜井さんと待ち合わせをした。

桜井さんは私の顔を見るなり、困ったように首をすくめた。
とりあえずコーヒーとサンドイッチを買って、二人掛けのテーブルに落ち着く。


「小牧さん、時間がないから単刀直入に聞いていい?」


桜井さんは食べてと手で合図をして、自分もコーヒーを飲む。


「小牧さん、室長とつき合ってるの…?」


私は桜井さんの目が見れなかった。
別に悪い事をしているわけではないが、何だか堂々とできない自分が悔しい。


「別にいいんだよ。

って、私は思うんだけどね…

私は室長の事嫌いじゃないし、あんなにロボットみたいに生きていた室長が愛する人を見つけたなんて最高に喜ばしい事だと思ってる。

今になって考えると、室長室に無理やり小牧さんを移動させたり、見え見えだよね。
そんな室長って、面白いし可愛いとさえ私は思うんだけど…」


翼はやっと顔を上げて桜井さんを見た。
桜井さんの表情は、本当にそういう風に思ってくれている優しい笑顔だったから。



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