たった二文字が言えなくて
「そっか。ありがとう」



ありがたいなんて思ってもいないのに。
でも、コイツだって別になんとも思ってないし。



「……痛っ」



ぼーっとしてたら誰かにぶつかっちゃったみたいで。



「あ、ごめんね?大丈夫?」



俺は一旦、一緒にいた子の手を離してその子の腕を掴む。



「……離して」



すごい嫌な顔をして俺が掴んでいる手を見る。



「……あ、ごめん」



もう一度、彼女に謝ってすぐに手を離す。

そのまま何も言わずに彼女は友達の所へと向かっていった。



「なにあれー?せっかく凜が謝ってんのに失礼じゃない?」


「いや、ぶつかった俺が悪いんだし」



あんな反応されたことなくて、正直気になった。



「でも、あの子なんか付き合いにくいんだよね」


「同じクラスだっけ?」


「もう、凜ってホント人に興味ないよねー」



ってか、君の名前も同じクラスかどうかも知らないけど。



「ふーん、同じクラスか……」

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