たった二文字が言えなくて

好きだなんて

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「ちゃんときたのね」



待ち合わせ時間ぴったりに静菜ちゃんが到着する。



「遅れて変えられたら困るから、早めにきた」


「何時についたのよ……」


「9時半……」



自分でもバカだと思った。
待ち合わせなんて遅刻するためにあるようなもんだと思ってた。



「なんか、今日の高藤くん静かじゃない?」



俺の隣に腰かける。



「……いや、別に」



隣に座ることも恥ずかしくて彼女から少し距離を開けて座り直す。



「え?なに?」



そんな俺を不思議そうにみる。



「き、気にしないで!」



それだけでいっぱいいっぱいだった。
好きな子なんていままでいなかったから、どうやってせっしたらいいのかわからない。



「なにそれ、誘ってきたのはそっちよ?」



怒るわけでもなく、悲しむわけでもなく。
あくまでも普通に話すこの子に胸が締め付けられる。

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