たった二文字が言えなくて
「し……」


「し……?」



呼べばない。
昨日は普通に呼べたのに。
静菜ちゃんの名前がよべない。

呼ぼうとするだけで顔が赤くなりそう。



「なんか顔赤くない?熱でもある?」



俺のおでこに静菜ちゃんのヒヤッとした手が触れる。



「な、ないから!」



一気に体が熱くなりそうで、彼女の手を思いっきり振り払う。



「そんな、バイ菌に触れられたみたいにしなくてもいいじゃない」



それでも彼女は怒らないし、悲しまない。



「……ごめん」



無理だ。
このままだと俺多分、心臓がおかしくなる。



「高藤くんってもっと女の子の前で余裕ある人だと思ってた」


「はは。そうかな……」



いままでは自信もあったよ。
でも、静菜ちゃんの前では全然いままでとは勝手が違うんだよ。
どうしたらいいのかわからない。



「てっきりあたし、家にでも連れ込まれるのかとおもったわ」


「え?」



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