糖度高めな秘密の密会はいかが?
「精進します…」と有澄が言った傍で、日下部さんが高橋さんに「結婚する事にしたのか?」と聞いた。

「いずれは…」としか答えなかった高橋さんを綾美は睨みつけて、「その煮え切らない態度が嫌なの!いずれは!じゃなくて、私は今すぐにでもしたいのに!」とブーケを高橋さんの胸に突きつけて騒ぐ。

綾美の目がうるうるとしていて、今にも涙がこぼれそうだった。

ホテル内のロビーは二次会帰りの人やチェックイン待ちの人達で賑わっていたので、周りには気づかれていないかもしれないが、私達には一大事なのだ。

高橋さん、どうするの?

「分かりました。俺は綾美さんの仕事が落ち着いてからと思ってましたが…サポート出来るなら、バイヤーになる前に結婚しましょう。せっかくの夢を叶えるチャンスなんですから、お断りしないで下さい。

それが結婚する条件です」

「うん、分かった…そうする」

高橋さんは綾美の両手を握りしめて、ゆっくりと伝えた。

自分で決断出来なかった綾美は、高橋さんに決断して欲しかっただけかもしれない。

一時はどうなる事かと心配したが、案外あっさりと解決してしまい、拍子抜けした感じもあった。

「高橋のくせに先に結婚するとは生意気な…!」

「そうだ、日下部さん、仲人お願いします」

「調子乗るな、誰がやるかって!」

日下部さんと高橋さんのやり取りにより、おめでたさが半減したけれど・・・本当に良かった。

「綾美、おめでとう!」

「ゆかりぃっ、大好きっ。海外に仕入れに行く時はゆかりにだけは沢山お土産買って来るからね!…お昼は一緒に食べようね。私が居なくても…浮気しないでね?」

「う、うん。しないよ、綾美は頑張って。私も寂しくなるけど頑張るよ」

綾美は私に抱きついて、嗚咽を漏らして泣いていた。

「どっちが彼氏か分からないな、高橋」と日下部さんの声が聞こえて、「綾美さんにとって秋葉さんは特別ですから勝てませんよ」と言って笑ってるのが聞こえた。
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